女の人は去って行った。



神城を見ると苦笑。



「顔で選んでるのはお前の方だろ…」



小さくつぶやいてる。



まあ、人の気持ちをもてあそぶ神城が悪いと思うよ。



女遊びとか、女をなんだと思ってるんだ…。



って、あたしもプライドのためにイケメン大学生と付き合ってるんだから似たようなもんか…。



「まあ…とりあえず今日はありがとな」

「あたし隣にいただけだけどね」

「ははっ。おまけに一発食らったしな、俺」

「日頃の行いを反省しなさい」

「うるせ…」



なんかちょっと可愛いんじゃない?



やっぱ殴られるってそこそこダメージあるみたいだね。



仕方ないから、近くのカフェでコーヒーを奢ってあげた。



『なんで俺が犬に奢られないといけないんだ』と言う目であたしを見てるけど知らなーい。



いい加減犬扱いやめてよね!



口止めとしてパシリになるのはもう諦めたからいいけど、せめて人扱いしてほしい。



言ったって無駄なのでわざわざ言いませんけど。



カフェでしばらく話をしてた。



神城は、どうやら特定の女の子はいないらしく。



たまにああやって女の子と遊ぶんだって。



基本的には相手の女の子も遊びのつもりだけど、まれに本気で神城と付き合いたがる子が出てくるらしい。



「『王子はみんなの王子だから彼女はいないんだよねー!』なんてお気楽に言ってる学校の子たちが知ったら卒倒するね」

「杉谷の本性もなかなかだけどな」



うるさいな…。



「そういえば、なんで神城は猫かぶってるの?」

「特に深い意味はねえな。昔子役やってたし周りがチヤホヤしてくる大人ばっかりだったから世渡りとして自然とこうなってた」



親が女優で御曹司だもんね。



環境的に無意識で愛想振りまくようになったんだろうな。