『おねーちゃん、今日見にいくからね!』

『おっきな声でおねえちゃんの名前呼ぶからっ』

『リラックスして楽しんで。美乃里なら大丈夫』

朝、柚巳と里柚とパパに言われたセリフが浮かぶ。

『美乃里ならぜーーったい優勝できるよ!』

『あー衣装楽しみだなあ!』

学校につけば、さゆちゃんや萌ちゃんもそう言ってくれて。

思い出すのは、小学生の頃の学芸会での大失敗。

大丈夫大丈夫。

たくさん練習したんだし、セリフだってないようなものたんだから。

何度も自分に言い聞かせていると。

ピロン

手に持っていたスマホが震えた。

『会場、着いてるよ。ふたりとも大はしゃぎ』

パパからのメッセージ。

ドクンドクン。

心臓が、うるさい。

どうしよう。

一気に不安が押し寄せてくる。

───ガチャ。

「それではみなさん、袖の方への移動をお願いします!!まもなく始まります!!」

控え室にやってきたスタッフさんの声に、ファイナリストの女性陣が立ち上がる。

私も急いで、彼女たちとともに、控え室を後にした。