「この間の続き。ほんとは最後までしてほしかったでしょ」
「そんなわけっ、」
早く目の前の彼を突き飛ばしでもしなきゃなのに。
体が重くてなかなか言うことを聞かない。
「好きだよ、美乃里ちゃん」
「っ、」
何度も耳元で囁かれるその声に体中が熱くなって。
ダメなのに、頭がどんどんボーっとしてしまう。
水牧くんは、誰にでもこういうことを言ってその気にさせてしまう人。
同じにはなりたくない。わかっているのに。
「もうしないよ。美乃里ちゃんにしか」
「え……」
なに、今の私の心の声が聞こえていた見たいな。
「これからはずっと、美乃里ちゃんのことだけ大事にするからね」
そう言った水牧くんがどんどん顔を近づけて迫って来て。
────キス、される。
反射的にギュッと目をつぶると───。
ピピピッピピピッピピピッ
大きなアラーム音で目が覚めた。
……嘘でしょ。
最悪な夢を見てしまった。