氷牙さんに会いに行って、
何を期待していたわけ?
『笑って』と書かれた、うちわを振れば
私に笑いかけてくれると、思ったわけ?
そんなこと、あるはずないじゃん。
だって。
氷牙さんが
私に送り返した段ボールの底に
『もう二度と、俺に関わるな!』
そう、書かれてたでしょ?
それって……
『アイドルの俺にも、会いに来るな!』
そういうことだよね?
総長に背中を押され
私と断絶したい氷牙さんの気持ちを
蔑ろにして
会いに行ってしまったけれど……
私はもう、何も期待しない。
氷牙さんとの、
宝石のようにキラキラした思い出も。
涙が枯れるくらい泣き続けた、
失恋の痛みも。
全部。全部。
大嫌いなイチゴと一緒に、
あんこの中に詰め込んで
真っ白いお餅で包んで、見えなくして
思いっきり、ぐっちゃぐちゃに
踏みつぶしてやるんだから!