ーーー最近、『星見』の候補として集められた令嬢らが次々と行方不明になっている。



『星見』とは、星の流れを詠んで、『聖域』より予言をもたらし、この天界を導く役割を持つ、尊い存在。

『聖域』の番人と言われている。

ーーーそもそも【聖域】とは、神族が住まうこの天界では創造神の領域として祀られている、神聖の区域。

そこに全ての神力の根源があり、『三宝』という有り難いお力が存在していて、儀式を為してこの『三宝』に選ばれれば、その力を得ることが出来る……らしいのだ。

天界では、儀式を為して、実際この力を手にした者がいる、らしいが。

『聖域』に関しては詳しい解明はされておらず、もう言い伝え、伝説のようなもの。



近年は、この『星見』となる者が現れず、ならば善見城で育成をしようじゃないかと、僅かばかりの適性を持った令嬢が集められ、合同で修行をしていたそうだ。

そんな次々と行方不明になるなんて、修行があまりにも辛くて逃げ出したんじゃないの?なんて、侍女仲間と笑いながら話していたが。



竜樹様から受け取った令嬢の姿絵を、恐る恐る確認する。

一枚ずつ、ゆっくりと。



(ち、ちょっと待って……)



伽藍様の毒殺未遂事件に、韋駄天様の不貞。

そして、星見候補の連続行方不明事件。

一方、月輪界の特級犯罪人が天界に潜伏してるであろう件。



この話の流れから行くと……それは全部、繋がってるの?



また一枚、めくる。

だが、現れた姿絵に「ひっ…!」と、息を引いてしまった。

その……見覚えのある可憐な姿に。



「……いたのか?」



聖威の問いに、無言で頷く。