……銀太さん。二人の世話役?ご苦労様です。いつも色んな意味で落ち着いてるから。

実は内心、素敵な人だなぁと思ってたのは言うまでもない。背も高いし、肉付き逞しいし。好みです。



「実は銀ちゃん、舞空と離れるの寂しいんじゃね?可愛がってたでしょー」

「そうだなぁ。もう少し時間があれば……舞空にエビフライの作り方教えてやれたのに?」

「攫ってく?」

「おいおいおい!舞空はざまあの後始末があるんだぞ!ざまあはここからが肝心なんだ!やらかしたヤローを平伏させるまでがざまあだ!」



……聖威。最後までそれ?

竜樹様じゃないけど、そこら辺に置いといてよ。平伏?そんなの望んでないよ……。

しかし、この私と同じ歳頃である神術士の少女、聖威との出会いが私の世界を変えた。



《舞空の人生は、舞空のものだ》



そう言ってくれたことで、今、私は。

カッコ悪かろうが、自分に正直になった、その道を歩もうと……決意した。



その続きを伝えようと口を開いたその時。

私の隣から「ぐすっ……」と、鼻をすする音が聞こえて、喉の奥で言葉が止まる。



「うっ……ううぅぅ、俺、やだよ。翼とお別れするの、いやだよ!」



天子・豹牙様だ。