だから、私は今のまま婚約破棄の状態で構わないと思っている。



……だが、そんな婚約復縁云々より、私的には重大な問題があったのだ。

物事には、必ず『終わり』が来る。



「はぁ……でも、その結末を最後まで見届けることが出来ないのが残念だわ」

「え? 何で?!……あ」



だけど、言葉の意味にはすぐに気付いた。

聖威は月輪界の住民。この天界の住民ではない。

この共に過ごしていた日常は、永遠とはならないのである。

任務失敗という区切りがある今、別れがある。



聖威は顔を引き攣らせて苦笑いをしながら、その理由を口にする。



「……実はさ。私が【宿曜】だということを兄上にバラしたと報告したら、月影が怒っちゃってさぁ。早急に月輪界に帰還しろって命令きたんだわ……」

「え……」

「あんときの総統の激おこぶりはオモローだったなぁー。『うぁぁぁ!姫様ぁぁぁ!今すぐお戻り下さいぃぃっ!』なんてシャウトしてさ?わははは」

いつの間にか翼もこっちにやってきた。隣には天子様がびったりくっついていた。