架威の顔が更にも増して歪む。不愉快とも取れる表情だ。

何も答えずにただ、ふんと鼻で笑う。

態度が物語っている。別に助けてくれと頼んだわけではない、余計なことをするな、と。

それを感じたのか、翼が一瞬だけ悲しそうな顔を見せた。



「……聖威は、あんたにトドメを刺すことが恐らく出来ないだろうな。だから……!」



言い掛けた、その時。

翼の黒い刀身から、何故か純白の光が放たれ始めた。

刀身から少しずつホワホワと漏れているような純白の光は、剣を伝って徐々に翼の体を包んでいく。

背中にある、黒い翼をも。



「……だから、代わりに俺があんたを殺ってやるよ」

「は?おまえがか?」

「ああ、そうだよ。無駄に優しすぎて、おばかで、どうもなんない俺の主だけど……聖威、俺の親愛なる者のために」




優しく呟かれた最後の一言が、『鍵』のような気がした。

その一言と同時に、純白の光は一気に勢いを増して、カッと光り出しては翼の体を包んでしまう。



「…Knight,…move on…」



光の中から、詠唱する翼の声が聞こえる。



「so'fly……supernova!」