……私を庇ったせいで、こんなことに。
だが、ここは時既に戦の場。そう落ち込んでいる暇はないのだ。
やれることは、絶対にやる。
そう心に決め、意識がなくただ横たわる聖威に向けて両手を翳した。
「聖なる白い恩寵、光の祝福……光癒【光の泉】!」
言霊が反応すると、私の両掌に熱が篭った。放つ光を聖威に向ける。
……今の聖威は、体内が魔力に脅かされている状態。
体内の魔力を浄化してから、回復しなければならない。
時間はある程度要するが、どちらも【光の泉】で対応出来る。
両腕に巻きつくように神力の流れを感じ、掌から次々と術式で練り出した癒光を、聖威に注いだ。
量が量なので、先日の姫様同様、掌が焼けるように熱い。
今まではこんな短期間で何度も使うことがなかったからか、割とスラスラ滑らかに術式を施すことが出来て、時間がかなり短縮された状態で術式は完了してしまう。
「聖威?……聖威!」
術式が完了して両手を下ろし、寝ている聖威の肩を揺する、が。
聖威の意識が戻らない。目を開けることもなかった。
……え、何で?!
体内の魔力も浄化したし、治癒は完了してるのに?!