チョコと紅茶を嗜みながら、私たちは窓の向こうの、灯りが灯り始めた花街の方を眺める。

宵闇に輝きを灯し始める、星空のようだ。



「……最初は、どうでもいいと思ってたんだけどなぁ」



そんな中、聖威が語り始めた。

天王様との間に何があったのかを。

その、想いを。






『特級犯罪人が天界に潜伏しているようだ』

そう聞いて、聖威らが秘密裏に天界にやってきたのは、ほんの一月前。

銀太さんの長兄である総統の月影様と、天帝様が内々に連絡を取り合っており、天帝様が聖威らの受け入れを許可したのである。……聖威らが異世界の戦士であることを知っているのは、天帝様と世話役に任命された竜樹様、その従者の士黄様のみ。

そして、聖威らは、架威がこの天界にやってきたその目的と所在を調べるため、まずは、それぞれが使用人として善見城に潜入することとなった。

聖威は、天妃様の宮で下働きをしていたそうだ。

日々、使用人の仕事をこなしながら、空いた時間、勤務終了後の時間で、架威の行方を追う。情報を集める。

そんな忙しい中、聖威は夜中にいつも訪れる場所があった。