「よぉーし!じゃあ、後で城に来い!おまえ、俺の隣に座れよー!」

「ちょっと豹牙!何勝手にこの子とトモダチになってんのー!私もトモダチになりたいのにー!」

「おー!じゃあ沙那もトモダチ申請すれ!」

沙那様も間に入って、和気あいあいとしている。警戒気味だった羅沙姫も、顔の緊張が徐々に解れたようで、最後には笑顔を見せていた。

子供たちの楽しそうなひとときの場面。可愛くて癒されるわ……。

その背後で竜樹様が天子様を敵意剥き出しで睨んでいるのは置いといて。

「おかあさま、お手洗いにいってきます」





(さて……)



これで剣術大会も終わり。

私たちの目的も、これにて終わりとなってしまうのだけど。

結局、韋駄天様がニセモノかどうかはわからず仕舞いだ。

これからどうするのか。



そう思って、顔を上げて隣にいる聖威の顔を見る。

だが、聖威は顔を顰めて辺りを注視しているようで、それがさっきからどうも気になってしまうのだ。

「ちょっと、聖威……」

そう呼びかけて、聖威の目線を何となく追う。

しかし、その先の光景を見て身体中に衝撃が走った。

(なっ……!)