だが、その直後。姫君の母である夜叉妃に「あーら、竜樹。下心満載ねぇ?……私の可愛い羅沙に?」と、静かに威嚇された挙句。

友人でもある兄の夜迦様には「おまえ、羅沙の大会は終わってないぞ。邪魔だ」と一掃され、哀れ立場のない可哀想な竜樹様……。

姫君にお近づきになるために、せっかく勇気を振り絞ったのに……。密かに空回ったけど……。





しかし、そんな中。

聖威はまだ羅沙姫から眼を離さず、神妙な面持ちを浮かべているのが。

どうしても引っかかってならなかった。