「ほぉぉ。パワーもスピードもあるな。こりゃ良い軍人になるぞ」

一緒に試合を観ていた銀太さんが、感心して呟く。すると、まるで突っ込むかのように他の二人が次々と口を挟む。

「おいおい。軍人って……この世界の皇子殿下なんですけど?」

「しっかし、剣士で野郎であのスピードだぞ?剣豪揃いの二番隊に欲しいんじゃね?」

「いやいや一番隊でも重宝する。欲しい。むしろくれ」

「おいおいおーい!ここはルナドラグのドラフト会議じゃありまっせぇーんぞ!」

珍しい。翼が突っ込んでいる。何の話かわからないので、私は何も言わないでいるけど。どらふと?何?



しかし、彼らも戦に従事する軍人なのか。子供の大会とはいえ、戦闘に通じる催しに多少盛り上がっていたようだ。



「しかしまあ、この世界のちびっこがあそこまでやるとは思わなかったな」

「ねぇ、このクソ世界の住人、物知り舞空ちゃん?あの皇子殿下の他に、腕の立つ対抗馬いるの?」

「……」

また、クソ世界って言ったわね。さりげなく罵るんじゃありません。

とは思えど、脳内の記憶を思い返して質問には答えた。