ふざけてばかりのお調子者がまともなことをを言い放つ。
翼が珍しくふざけていない発言をしたせいか、竜樹様は「うーん、でも……」と、再考している様子だった。
「で、もしバレたらどう対応する?翼、おまえは魔族だって善見城の者にはバレてるんだぞ」
「そりゃあ全力で逃げる」
「……」
「おまえの逢瀬の覗きがバレても、俺っちは全力で逃げるぜ?ひひひ」
「……やっぱりダメだぁぁ!来るな!」
「えー」
やはり、そんな展開。
結局、翼はやはり翼だった。
そして、今までにないぐらいの小競り合い(?)が繰り広げられる。
そして数分の攻防(というか、同じ問答の繰り返し)の後、折れたのは竜樹様だった。
「会場では絶対大人しくしてろよ?!で、韋駄天様を確認したらさっさと帰れ!」
そう一言付け加え、半ば自棄になって。
……そうして、二日後。
私達は、善見城内で催される、少年少女剣術大会の会場に潜入することとなったのだった。