そりゃあ緊張もしますよ。想い人の部屋に、1年越しでお邪魔するんですから…

「暖房入れたけど、まだ寒いから上着着てて」

とりあえずコートを着たまま2人で並んでソファーに座り、缶ビールで乾杯した。

この状況は、アルコールを摂取しないと緊張でどうにかなりそうだったので、1杯だけ飲ませてもらうことにする。

ぐびぐび飲みながら大好きなチータラをちまちま食べていると、

「…小夏、なんかリスみたい」

すごく優しい目で見つめられた。
それがすごく恥ずかしくて、またドキドキが飛び出しそうで、それを押さえるように慌ててぐびぐびビールを煽る。

「…そんなに飲んで大丈夫か?顔、真っ赤だけど」

…この赤さは決してアルコールのせいだけではない。

イチさんの、熱を持った手のひらでそっと頬を包まれたから。