家のこと、わたしは、なんにもわからないよ。 でも、家のことで、振り回されている。 関係なくなんてないのに。 「少しいいですか、お嬢」 「……いや」 「入りますよ」 「イヤって言ってるでしょ!」 「このままじゃ風邪をひいてしまいます」 どうせわたしを心配するのも仕事だからでしょ。 ドライヤーくらい自分でできるもん。 「あと何回。坂田はお嬢の髪を撫でることができるでしょうね」 え? 「お嬢に触れられるのは。こうしてお世話をさせていただける間だけですよ」