「棗」 夜 お風呂から上がり、廊下を歩いていると 誰かに呼ばれた。 振り返るとそこには―― 「ハルおじさん!?」 「久しぶり。棗」 「うわあ! いつ戻ったの?」 「たった今」 「おかえりなさい!」 ハルおじさんは、親戚のおじさん。 おじさん、といってもまだまだ若くて、渋くてカッコいいと思っている。 海外で生活しているからウチに来ることなんて滅多にない。 小さな頃、坂田と一緒にわたしをお祭りに連れて行ってくれたこともあった。