「ダメ! 撮るの!」

「分かったよー、もう」

不貞腐れながらも、スマホのカメラに向かって表情を作る由麻。

撮り終わるとさっさと行ってしまった。

そんな親子の様子を微笑ましく見ていると、

「もう。由麻ちゃん、せっかくおめかししてるのに。……あっ、志希君」

由麻のお母さんが俺に気付いた。

「もうちょっと自分に興味を持ってもいいと思わない? 親バカじゃなくて、由麻ちゃんは正真正銘可愛いんだって志希君からも言ってあげて」

えっ……。それ、俺に言う?

どう答えるべきか迷って、笑って誤魔化す。

「そうだ。せっかくだからこの由麻ちゃんの写真、志希君にあげるね」

半ば無理やりに写真を送られた。

由麻のお母さんが立ち去った後、トーク画面から写真を開いてみる。