早瀬君を呼ぶ女の子の声が聞こえた。

反射的に視線を誘われて、早瀬君、広田君に近づく女子2人の姿が目に入った。

胸がざわつく。

女子と話す早瀬君は、友達にしか見せないと思っていた笑顔を見せていた。

早瀬君って女の子相手にもあんな風に笑うんだ……。

ううん。もしかしたら……好きな子、だから笑っているのかもしれない。

そんな考えが過った時、嫌だな、って思った。

他の子に笑いかけてほしくない。

私だけに笑顔を見せてほしい。

途端に出てくる欲張りな感情。

「葉石、ちょっといい?」

声をかけられて我に返る。

一緒に掃除していたクラスの男子に呼ばれて、一旦プールから出る。

そのまま彼について行く、その後ろで「あれって告白?」なんて変なことを言う声が聞こえた。