「けど、久志、朝からけっこう食べるよね?」


「そう?だって朝食べないと、仕事中体動かないから」


そう言って、納豆の掛かったご飯を掻き込んでいる。



私と彼の間にあるテーブルには、
その納豆ご飯だけじゃなく、卵焼き、アジの焼き魚、豆腐とワカメの味噌汁があって、
朝の6時に彼が起きて、用意した物。


そんなちょっとした事も、この人はナツキとは違うと思ってしまう。



ナツキは朝食なんか食べなかったし、
まず、料理すらしなかった。



あれから5年経っても、私の料理の腕はダメダメなので、
こんな風に料理が出来る人を旦那に出来るのは、理想なのかもしれない。


昔、結婚は30歳くらいでいいかと思っていたけど、
現在23歳、後半年後に私は目の前のこの人と結婚する。


それは、心弾むようなプロポーズがあったとかでもなく、
周囲に急かされ、なんとなくそうなってしまった。


まぁ、いつかはこの人と結婚したいって思っていたから、別にいいんだけど。


ナツキのように、見るからに危険な雰囲気を持ったホストなんかにあれ程恋したのに、
私が旦那に選んだ人は、見るからに温厚でとても誠実な人。


ナツキのあの狡猾な笑みとは違い、この人はいつも人懐っこい笑顔を見せる。


ナツキは見るからに高級そうな腕時計をしていたけど、
この人は仕事中便利だからと、タイマー機能の付いているG-SHOCKをずっと付けている。


そんな彼の職業は、介護福祉士で、
それなりに力仕事もあるからか、
ナツキよりも、筋肉質。