校門の横に見慣れた軍帽が見える。人の波を縫うように出ると、軍服姿の八尋が待っていた。その姿を認め、百合子と慌てて別れの挨拶を交わす。
「絃乃さん。また明日ね」
「ええ」
百合子が駆け足で歩み寄ると、八尋は口元をわずかにゆるめた。
「お待たせしました」
「いえ。自分は先ほど来たところですので」
恒例のお迎えイベントは、もはや日課となっていた。聞いた話によると、仕事でどうしても来られないときは、彼の部下が代役で来ることもあるという。
(仲が睦まじいのは、いいことよね)
たまに悩むような様子があるにせよ、百合子と八尋の仲は順調と見てよさそうだ。いささかゲームよりも溺愛度が高い気がするけれども。
彼らの遠くなる背を見送って、絃乃はふうっと息を吐き出す。
(雛菊が退学してから一ヶ月か……元気でやっているかな)
朝より一層冷たい風が通り抜けた。冬の訪れを感じさせる空気に、ぶるりと体を震わす。校門を出て少し歩いたところで、聞き慣れた声が呼び止める。
「久しぶりね、絃乃」
おしゃれな柄がついた半襟をつけた雛菊は、青地に小花が舞う着物を羽織っていた。帯は太鼓結びできっちりとした雰囲気だ。防寒のためだろう。芥子色の羽織を腕に抱えている。
「え? 雛菊?」
「まるで幽霊でも見たような感じね。せっかくだし、どこかでお茶でもいかが?」
親友からの誘いに乗らない選択肢はなかった。
聞きたいこと、話したいことはたくさんある。人通りの多い道を通り、いつもの出町柳そばの甘味処へ足を向けた。
「絃乃さん。また明日ね」
「ええ」
百合子が駆け足で歩み寄ると、八尋は口元をわずかにゆるめた。
「お待たせしました」
「いえ。自分は先ほど来たところですので」
恒例のお迎えイベントは、もはや日課となっていた。聞いた話によると、仕事でどうしても来られないときは、彼の部下が代役で来ることもあるという。
(仲が睦まじいのは、いいことよね)
たまに悩むような様子があるにせよ、百合子と八尋の仲は順調と見てよさそうだ。いささかゲームよりも溺愛度が高い気がするけれども。
彼らの遠くなる背を見送って、絃乃はふうっと息を吐き出す。
(雛菊が退学してから一ヶ月か……元気でやっているかな)
朝より一層冷たい風が通り抜けた。冬の訪れを感じさせる空気に、ぶるりと体を震わす。校門を出て少し歩いたところで、聞き慣れた声が呼び止める。
「久しぶりね、絃乃」
おしゃれな柄がついた半襟をつけた雛菊は、青地に小花が舞う着物を羽織っていた。帯は太鼓結びできっちりとした雰囲気だ。防寒のためだろう。芥子色の羽織を腕に抱えている。
「え? 雛菊?」
「まるで幽霊でも見たような感じね。せっかくだし、どこかでお茶でもいかが?」
親友からの誘いに乗らない選択肢はなかった。
聞きたいこと、話したいことはたくさんある。人通りの多い道を通り、いつもの出町柳そばの甘味処へ足を向けた。



