転校先の担任は数学担当の教師だった。

初対面の嫌な印象はなく、
現在になっても思い出すくらいの先生だ。

小原先生。
(こはらせんせい)


いつからかは知らないが
あだ名は(コアラ)だった。

この人から数学を教わった事はない。
教わった記憶がない。
なぜなら聞いていなかったのは私の方だった。

何への反発なのか
怒りなのか、

コアラのことは嫌いではなかったが、
冷たくあたった。

反抗期に入りたての私にとっては
最も鬱陶しい存在だったのだろう。

後に私にとってはこの上ない理解者になってゆくコアラをこの時はただただ
この上なく、避ける日々を
後悔する事になる近い将来を私はまだ知らない。




ある日の昼休み、
三年生から呼び出しがあった。

『お前か?大阪からの転校生は、ちょっと来ぃ。』