これまでの私、
片親でイヂられることもなく、
イヂメられることもなく、
なかなか明るく楽しくやってきた。

友達も多かった方だし、何より最愛の彼氏もいた。
1コ上の先輩だ。
頑張ってバレンタインに告白した事も、
やっと付き合えた事も、


父も祖母も知らない。


私が大人の事情を知らないように
あなた方、大人も子供の事情を知らない。

この現実に目を合わせる事を
まだ出来なかった私は


その夜、初めて現実逃避し
彼に全てを任せてみた。

嬉しかった。
悲しかった。
痛かった。

忘れられない香りになった。

そして初めてづくしに泣いた。


子供ながらに大阪と九州の距離感がわからず、

私から『さようなら』とは言えなかった。



携帯電話もない時代に彼は

『いつか連絡するね』と言った。