赤いスポーツカーは、座席がゆったりで、ずっと疲れていた私には眠りに誘うにはちょうどいい物だったーー。



「胡桃ちゃん、着いたよ」




あ、私寝てしまっていたんだ。


見渡すと、すごく夜景が綺麗なビルの目の前。


「夜景が綺麗なダイニングバーなんだ。食べて飲んで忘れよう」



忘れることはきっと出来ないであろう。



「好きなの食べていいよ。
お酒飲めるでしょ?今日はここの最上階に泊まるからさ」


えっ!!
せっかく持ってきた支度、置いて来てしまった。



顔に出ていたであろう私を見て、たかしくんは笑って座席の後ろを指さした。



「ちゃんと持って来たから大丈夫だよ」


本当、たかしくんは抜かりない性格の持ち主だ。