「ごめん、ありがと……」


言い返すのをやめ、保冷剤を受け取る。

そして、まだ少しジンジンする鼻の頭に当てると、ほんのり冷たくて気持ち良い。


言い方こそぶっきらぼうだけど、冬哉はいつも……優しい。

なのに、あたしといえば素直じゃなくて、可愛げのかけらもない。


ゆっくりベッドの上に座りながら、デスクの椅子に腰掛けた冬哉を見る。


何かされると思ってるわけじゃないなんて嘘。

むしろ……“何か”してくれるのを期待してると言ったら、冬哉はどんな顔をするんだろう。


……とか、考えている場合じゃなかった。


「それで、話ってなに?」


改めて冬哉に声をかけられて、「えっ」と声を上げる。


「さっき話があるって言ってただろ」

「あ、うん……」


不思議そうに問いかけられて、あたしは頷きながら俯いた。


そう、冬哉に話があって来た。
自分の気持ちを伝えると決めて来た。

……のに、いざ本人を目の前にすると、バクバクと心臓がうるさくて、緊張して声が出ない。