今まで自分の部屋のように、躊躇いなく入っていたはずなのに、今日はまるで初めて入る男子の部屋みたいに緊張する。

……って言っても、冬哉以外の男子の部屋に入ったことなんてないけど。


いつもなら何も考えずに、ドカッとベッドの上に座っていた。

だけど今日は……この前押し倒された時のことを思い出して、ベッドの前に敷かれたラグの上に腰を下ろした。


冬哉が戻ってきたら、どう話を切り出そう。

……なんて考ていると、トントントンと階段を登る足音が聞こえてきて、思っていたよりもすぐに冬哉は戻ってきた。


「そんなとこ座って痛くない?」

「べ、別に」


座った場所を早速ツッコまれ、あたしは恥ずかしさを誤魔化すように素っ気なく返事した。すると、


「ほら、ベッドに座れば。心配しなくても何もしねーから」

「別に何かされると思ってるわけじゃ……」


図星を突かれて反射的に言い返そうとした、あたしの前に差し出されたのは、ハンドタオルに包まれた保冷剤。