「顔、見せて」


腕を掴んで、あたしの顔をじっと見る冬哉。


「ちょっと赤くなってんな」

「っ……」


そっと鼻に触れて呟いた冬哉に、違う意味で顔が赤くなる。


「何か冷やすもの持ってくる」


そう言って立ち上がろうとした冬哉。

だけど、あたしは咄嗟に……冬哉のシャツの裾を掴んで止めていた。


「……なに?」

「は、話があって」


少しでもタイミングを逃せば、上手く伝えられないような気がして。

あたしが言うと、冬哉は少しキョトンとした後、フッと笑った。そして、


「分かったから、部屋で待ってろって」


ポンッとあたしの頭に手のひらを乗せてから、一階へと降りていった。