本当はもっと詳しくはるかの話を聞きたかったけど、時間が許してくれなかった。

それに……。


『まずはなっちゃん、自分のことでしょ?』


帰り際、苦笑しながら言われたはるかの言葉通り、あたしがまず気にしなければいけないのは自分のこと──。




「ただいまぁー……」


自分の家……ではなく、その隣の冬哉の家に着いて玄関を開けると、冬哉の靴があった。

さすがにもう、帰ってるよね……。


靴を脱ぎ、いつになく緊張しながら家の中に上がる。

そして、ドキドキしながらそーっとリビングのドアを開けた。すると、


ふわっと香ってきたのはカレーの良い匂い。そして、


「あ、夏海ちゃんおかえり」


キッチンから優しく微笑んで迎えてくれたのは、冬哉ママ。

リビングには……冬哉はいない。


少しホッとしたような気がしながら「ただいま」と、冬哉ママに返事する。


「ご飯今さっき炊飯押したから、もう少し時間かかるけど良いかな?」

「うん、全然!あたし着替えたりしてくるね」


冬哉ママにそう言うと、あたしは二階へと上がった。