「私もなっちゃんに謝らなきゃいけないことがあるの。私……橘くんのこと好きじゃないよ」


目の前から聞こえてきた言葉に、パッと顔を上げる。


「え……」


冬哉のこと好きじゃない……?
どういうこと……?


「だ、だってはるか、冬哉と連絡取ったり、実際仲良くなってたり……今日、今日だって、冬哉と遊びに行く服を買いに来たんでしょ?」

「違うよ」


確かめるように言った言葉はあっさりと否定され、一層目を丸くする。


「私が遊びに行く約束したのは他の人。私が好きなのは橘くんと同じクラスの男の子だよ。あと、橘くんがなっちゃんのことを好きなのも知ってる」


動じることなく、淡々と話すはるか。だけど、


「まって……全然意味がわかんない」


処理不足に、あたしは思わず頭を抱える。

するとはるかはフッと苦笑した。


「まず、私が橘くんのことを好きっていうのは、なっちゃんの勘違いなんだよ。なのに、橘くんのスマホに私を入れちゃって……『悪いけどその気はないから』って、無駄にフられちゃったんだから」