冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。



買い物と言えばここ、といった感じの大きなショッピングモール。

授業が終わって放課後、あたしははるかと一緒に買い物に来た。


正直はるかと一緒にいるのも心苦しい部分があるけれど、それよりもっと冬哉と一緒にいるのがつらい。

だから、買い物に誘ってくれて感謝する部分もあるけど……。



「何か欲しいものでもあるの?」


エスカレーターで上の階に登りながら、あたしは一段上のはるかに問いかけた。


こうして寄り道をして帰るのは、別に珍しいことじゃない。

だけど先に声をかけるのは大抵あたしで、はるかから言い出すのは少し珍しい。


「うん、ちょっと服とか見たくて。今度、一緒に遊びに行く約束出来たから」


恥ずかしそうにはにかんで、そう告げたはるか。


え、一緒に遊びに行く……?


「だ、誰と……」


びっくりして思わず問いかけた。

だけどあたしの声は、ちょうどエスカレーターが着いたタイミングで、はるかの耳には届かなかった。