今まで、ただ忘れ物を借りに来るだけだと思っていた。 でも、まさか本当に……? あたしのために……? 考えれば考えるほど、ドクンドクンと胸の鼓動が大きくなるのを感じる。 冬哉の優しさに、あたしは──……。 「なっちゃん」 思わず考え込んでしまっていると、それを断ち切るように降ってきた声。 一瞬はるかの存在を忘れていたあたしは、慌ててパッと顔を上げた。 すると、目が合ったはるかはフッと微笑んで。 「今日の放課後、買い物に付き合ってもらってもいいかな?」 そうあたしに言った。