冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「心配?」

「うん、一昨日あんなことがあったでしょ?だから……」


ちらりと周りを気にしながら、小声で言うはるか。

一瞬視線を向けた先には友永さん達がいて、何が言いたいのかはすぐにピンときた。


昨日の夜に冬哉と話した時も、確かに気にしてくれていたっけ。

でも……。


「忘れ物なら時々借りに来るし、それはちょっと考えすぎなんじゃない?」


まさか冬哉がそこまで考えてくれているなんて、あり得ない。

今までのあたしなら、笑い飛ばして終わり……だったと思うのに。


「今日だけの話じゃなくて、いつもだよ。橘くんうちのクラスのこと、気にして見てる気がしたから」

「……」


はるかの発言に、思わず言葉を失う。

同時に思い出すのは、


『お前、放っといたら絶対何かされるだろ。中学ん時も、怪我させられそうになったことあるし』


あの夜の日に聞いた冬哉の言葉。


告白してきた女の子達に、あたしには手を出すなと忠告してくれていた冬哉。

知らないところでずっと守ってくれていた冬哉。