冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「いくら女嫌いでも、もうちょっと愛想良くした方がいいと思うよ!? 冬哉、噂で何て言われてるか知ってる?」


冬哉という名前もかけて『冷徹王子』と、呼ばれているのはまだ良くて。

冬哉のことを良く思っていない男子達からは、そっちの……男が好きなんじゃないかって馬鹿にするように言われている。

それが本当なら、それはそれでいいけれど、あたしが知る限り冬哉はそういうわけじゃない。

それに、そんなふうに馬鹿にするのは、冬哉はもちろん色んな人に失礼だ。


「……って、先に行ってるし! もう、ちゃんと聞いてる!?」


追いかけて、グイッと腕を掴んで振り向かせると、


「……あ?」


冬哉はイヤホンをしようとしていて、あたしの話なんてこれっぽっちも聞いていなかった。


「もっ、もう……」


こっちは本気で心配してあげてるのに!


「冬哉のばかっ!!」