だったら、自分がどうすればいいかは決まってる。

冬哉の言う通り、昨日言われたことは忘れて、いつも通りの『幼なじみ』に戻ればいい。

その方があたしにとっても都合が良い──のに。


「……いや」


昨日のことを、なかったことになんかしたくない。

冬哉の気持ちを忘れるなんて嫌。


本当はずっとモヤモヤしてる。

冬哉のスマホに届いたメッセージが誰からなのか気になって、胸が苦しい。


あたしだけを……みてほしい。


忘れなきゃって思うのに、消そうと思えば思うほど、急激に大きくなる気持ち。

でも、今更こんなのどうしようも出来なくて。


「っ……」


ひとりになったリビングで、あたしは仰向けにソファに倒れたまま、溢れる感情に両手で顔を覆った。