冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。



パタンとドアが閉まって、広いリビングにひとりきり。

テレビは付けっぱなしのはずなのに、何が流れているのか全然耳に入ってこない。

それよりも、あたしの頭の中をぐるぐるしているのは、さっきの冬哉の言葉。


『昨日言ったこと、忘れていいから』

『やっぱ夏海は幼なじみだわ』


……それってどういうこと?


はっきり『好き』と言われたわけじゃないけど、昨日知った冬哉の気持ち。

冬哉はあたしのことを想ってくれている……と思っていた。


だけど、忘れて……ってことは、間違いだったってこと?

あたしはやっぱり幼なじみ……って。



考えながら思い出す、あたしの頭を撫でた冬哉の表情。


笑っていたけど……どこか寂しそうだった。


本当は分かっている。

冬哉がどうして『忘れて』なんて言ったのか。


きっと、全部あたしのため。


あたしが『幼なじみとしか思えない』と、言ったから。

あたしが冬哉を避けてしまっているから。


あたしがいつも通りじゃないから、冬哉はあたしのために『忘れて』と、言ったんだ。