「何で逃げんの?」
パシッと腕を掴まれて、引き止められた。
「べ、別に逃げてなんか……」
言いながら、目が泳いでしまっているのが自分でも分かる。
自分の気持ちを隠して、何とかやり過ごさなければと思うけど──。
「もしかして意識してくれてる?」
「はっ、なにバカなこと──」
言い返そうとした瞬間。
掴まれた腕をグイッと引かれて、あたしはソファに倒れ込んだ。
ギュッと腕を掴んだまま、あたしを見つめる冬哉。
濡れた髪が一層艶っぽくて、近くて、ドキドキする鼓動の音が聞こえてしまいそう。
「せっかくだし、一緒に風呂入れば良かった?」
「なっ……!」
にっこりと笑顔を浮かべる冬哉に赤くなる。
一緒にお風呂になんて、この期に及んで何ふざけてるの!?
「っ……」
『ふざけないで』と口を開こうとした。
だけど、それよりも早く、あたしの腕を掴んでいた冬哉の手は……離れた。



