冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


そんな顔をして『良かった』なんて、ずるい。

ダメだって分かっているのに、今もまだあたしを心配してくれる冬哉を嬉しく思ってしまう。


「夏海」

「ん?」


思わず黙り込んでしまったあたしに、冬哉が声をかけてきて、何もなかったように顔を上げようとした……けれど。


「ソース付いてるし」


あたしを真っ直ぐに見つめる冬哉が、口元に手を伸ばしてきて……微かに触れた、瞬間。


「っ、やっ……!!」


あたしは拒絶するように、思いっきり冬哉から顔を逸らしてしまった。


「あ……」


目の前の冬哉は、少し驚いた顔で、そして──。


「や、やだ、子どもじゃないんだし自分で拭けるから! お腹いっぱいなったし、先に片付けするね!」


気まずくなる雰囲気を感じて、あたし空になったお皿を持って立ち上がった。