冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「っ……!?」


ツーンと鼻の奥を刺すような痛みと同時に目の奥から痛みが込み上げてきて、あたしはギュッと目を閉じる。


「んーっ!!」


悶絶しながらバシバシと机を叩くと、冬哉が小刻みに震え、笑いを堪えているのが分かった。


こいつ……!


たこ焼きの中に何を入れられたかは明白。


「しっ、信じらんないっ!! わさび入れたでしょ!?」

「ふっ、ははっ、夏海のリアクション傑作!」


やっと声を出して笑う冬哉。

さっき何も言ってくれなかったのは、たこ焼きの中にわさびを入れていることを悟られないように笑いを堪えていたんだ。


「あたしにやったんだから、冬哉もやらなきゃだめだからね!あ、チョコ!チョコ入れてやる!」

「は?チョコはねーだろ」

「あり!絶対ありだよ!ロシアンルーレットたこ焼きだかんね!」

「ロシアンルーレットなら、夏海も食う可能性あるってことだけど」

「え、あ……!」

「気付いてねぇのかよ」


フッとまた、顔を歪ませて笑う冬哉。


「わ、わかってるし!上等だし!」


冬哉の笑顔に不意に赤くなってしまったあたしは、パッと顔を逸らすようにたこ焼きを返す。