冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。




冬哉が生地を流し込むと、ジューッと勢い良く焼ける音を立てる電気たこ焼き器。

タコにチーズにウインナーにキムチ、色んな具を用意してテーブルを囲むけど、正直この状況が理解出来ない。


だって……昨日の今日、だよ?

しかも今日ほぼ1日、ついさっきまで、あたしは冬哉を避けて過ごしていたのに。

それが一緒にタコパ?


冬哉の考えていることがさっぱり分からなくて、チラリと探るように目を向ける。

すると、バッチリ目が合ってしまって──。


「なに?まだ焼けてねぇけど」

「いや、飲み物!あたし飲み物持ってくるっ!」


冬哉の気持ちを探るどころか、逃げるように立ち上がった。


ギクシャクするあたしとは違って、冬哉はあくまで普通。いつも通り。

まるで何もなかったみたい。

もしかしたら夢だったのかもとさえ思いそうになるけれど、掴まれた腕の痛みとか、冬哉の表情とか、嫌になるくらい鮮明に覚えている。


コーラとお茶のペットボトル、それからグラスを二つ持って戻ると、冬哉が器用にたこ焼きを返していた。