冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


少し驚いた様子でパチパチと瞬きをするはるか。

でも次の瞬間、フッと笑った。


「心配してくれてありがとう。橘くんとも相談したんだけどね、学校ではあまり話さないようにしようってことになったの」


「せっかく仲良くなれたのに、ちょっと残念だけどね」と苦笑するはるかに、ズキンと胸が痛む。


だってあたし……今、少しホッとしてる。

冬哉とはるかの距離が開いたことに、ホッとしてる。


自分の気持ちをはるかに伝えたら、どうなるんだろう。

優しいはるかなら、許してくれる?


自分の中に渦巻く気持ち。

覚悟を決めるように、鞄を持つ手にギュッと力を込めた時だった。


「それより昨日は、私のせいで大変なことに巻き込んじゃってごめんね」


隣から聞こえた言葉に、あたしはパッと顔を上げた。


「友永さん達に呼び出されたとき、正直すごく怖かった。だから、なっちゃんが来てくれて、本当に嬉しかった。私のことを信じてくれたのも、嬉しかった」


「ありがとう」と続けて、少し恥ずかしそうにはにかむはるかに、胸がぎゅっと苦しくなる。


『信じてくれた』なんて、そんな立派なものじゃない。

だって、あたしは今なにを言おうとした?