──木曜日。
珍しく早起きをして……というより、眠れなくて。
いつもよりかなり早く家を出ると、あたしの気持ちとは正反対の気持ち良い快晴。
昨日あんなことがあって、どんな顔をして冬哉と顔を合わせたらいいのか分からなくて、わざと先に出た。
同じ家に住んでいるから、どんなに避けても夜には顔を合わせなきゃいけないんだけど……。
──あ、そういえば。
ふと思い出して、カバンの外ポケットからスマホを取り出す。
昨日の夜、ママから連絡があったんだった。
電話をしたら声で泣いていたのがバレそうで、寝ていることにしたんだけど……。
「……あ、ママ?おはよう」
そのまま電話をかけてみると、3コールくらいですぐにママは出てくれた。
『おはよう、今から学校?』
「うん、今歩いて行ってるところ」
『そうなんだ、じゃあ冬哉くんも一緒?』
「いや、今日は別々……用事があって」
ママの口から当たり前のように出てくる名前に、ズキンと胸が痛む。
隣にいるのが当たり前……だったもんね。