そんな切ない顔をして見つめないで。
ドキドキと鼓動がうるさくて、心拍数が更に急上昇してる。
ただの幼なじみだと思っていない……って、こんな状況で、距離感で、そんな顔をして言われたら、いくら鈍くたって気付かないふりなんて出来ない。
「あ、あたしは……」
あたしは冬哉のこと、どう思ってるの?
ずっと一緒にいて、家族同然の存在で、意識したことなんてなかった……はずなのに、ここのところ少し変で。
冬哉がはるかと急激に仲良くなっていて、戸惑った。
冬哉が一番に大切にする女の子があたしじゃなくなるんだと思うと、胸が苦しくなった。
そして……今。
冬哉に『ただの幼なじみとなんか思ってない』って言われて、あたしはどう思ってる……?
問いかけてみたら、答えははすぐそこにあるような気がした。
だけど……。
「……あたしは冬哉のこと、幼なじみとしか思えないよ」
冬哉に腕を掴まれたまま、顔を逸らして返事した。
わざと顔を見ないようにしたのに、自然と震えてしまった声。



