ど、どうして、こんな状況になってんの……?


「と、冬哉、いたい……」


ベッドに押さえつけられる腕に力を入れてみるけれど、びくともしない。

すぐそこには冬哉の整った顔があって、あたしの身体をすっぽり覆うように被さった身体。

ドクンドクンと、今までに経験したことがないくらい、自分の胸の鼓動が大きい。


この状況、冬哉の言葉、これじゃまるで……。


「も、もうっ! 人のことからかうのやめてってば!」


冗談であってほしいと思いながら、あたしは少し声を荒げた……のに。


「からかったりしてねーよ。俺は夏海のこと、ただの幼なじみとなんか思ってない」

「……え」


二人っきりの部屋に響いた言葉に、目を見開く。

静かに告げた冬哉は、真面目な顔に壊れそうな瞳で……あたしを見つめていた。


「……ま、待って……」


こんな冬哉、知らない。


いつも呆れたような顔で、あたしのことをバカにするくせに。

お節介なお兄ちゃんみたいで、かと思えばだらしないところもあって、弟みたいで。

ずっときょうだいみたいに一緒に育ってきて、知らないことなんてないと思っていたのに。