冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


ピコンッと部屋に響いたのは、机に置いた冬哉のスマホが、誰かからのメッセージが届いたことを知らせる音。


「……」


2、3秒ほどそのまま見つめ合ったあたし達だったけど、先にあたしがパッと目を逸らすと、冬哉はベッドから立ち上がった。

そして、そのまま机の方へと足を進める。


冬哉があたしを大切にしてくれる理由。

それは、あたしが『幼なじみ』だからだって、分かっている。

家族のような存在だから守ってくれる。


それだけで嬉しいはずなのに……胸が潰されたみたいに、ぎゅっと苦しくなる。


だってもう、あたしは冬哉の『一番』じゃない。

これから冬哉が守っていくのは、あたしじゃない。


「──っ」

「なに……」


気付くと、目の前には冬哉の驚いた顔。

それもそのはず。いつも間にかあたしも立ち上がって、冬哉のシャツの裾を掴んでいた。