冷徹王子様は、あたしだけに甘い恋をする。


「久しぶりにあんなことになっちゃったけど……やっぱり冬哉、ヒーローみたいでカッコよかった」


今日だけじゃない。

同じようなことがあって、過去にも助けに来てくれた姿を思い出し、顔が綻ぶ。


確か中学1、2年生の、冬哉の背が急に高くなってモテ始めた頃だった。

冬哉と幼なじみのあたしは、今日みたいに女子達にイジメられそうになったことが何度かあった。

そのときも、助けに来てくれた冬哉。


でも……あれ?

そういえば、ある日急に冬哉のことでイジメられることがなくなった気がする。

冬哉に思いを寄せる女の子に睨まれたりすることはあったけど、今日みたいに直接手を出されたりすることはなくなっていた。


それは、どうしてだっけ……。


「急に何考え込んでんの」

「あ、うん。今日みたいなこと、しばらくなかったでしょ?それって、何でなのかなって思って……」

「あぁ、お前に手ぇ出したら許さねぇって話してるから」

「……え?」


さらりと言った冬哉に、あたしは顔を上げる。