「……や、なに?何か奢ってあげれば良いの?だったら今月、金欠だからジュースくらいしか無理だよ!」
少しドキッとする。
冬哉があまりに真剣な顔をしてあたしを見るから。
内心動揺しつつも、何とかいつもの調子で返事をする。
だけど、冬哉の表情は変わらない。
なんだろう、この雰囲気。
何かを冬哉に試されているようで、そわそわして落ち着かない。
「ど、どうしたの……?」
「……いや、なんでも」
恐る恐る問いかけてみると、さっきまでのは何だったのか、顔を逸らされてしまった。
……え、ほんと何なの。
冬哉が何をしたいのか全く分からなくて、眉間にシワを寄せる。
このまま『そういうことだから、おやすみ』と、部屋を出て行こうかとも思った。
だけど、なんとなく……出て行きたくなくて。
「そ、そういえば昔はよく、あんな感じで助けに来てくれたよね」
あたしは冬哉に話しかけていた。



