考えたこともなかった言葉に、頭の中が真っ白になる。
そして思い浮かべたのは、冬哉のことを話す紅らんだはるかの顔。
本当は冬哉のことを好きなんじゃないかと、何度もあたしに聞いてきたはるか。
実際にはるかは冬哉のことが好きなわけで、全く心当たりがないわけじゃなくて、思わず動揺して目が泳ぐ……けど。
『ペア、一緒にならない?』
ハッと思い出したのは、はるかと初めて会話したときのこと。
高校に入学してすぐ、体育の授業でそう誘ってくれた、はるかのはにかんだ笑顔が浮かぶ。
中学から仲の良かった子は、みんな別のクラスになってしまって、唯一同じクラスになったのは冬哉のことが好きな女の子で。
彼女に疎まれていたあたしは、新しい友達も出来ないまま、自然とひとりになってしまった時期があった。
そんなとき……体育の授業ではるかが声をかけてくれた。
あのときはまだ、はるかは冬哉のことを知らなかっただろうし、知っていてもあたしが幼なじみとまでは気付いていなかったはず。
それに何より、あの笑顔を思い出したら、それからずっと隣にいてくれたことを思い出したら……わかる。