「あーもう、今日の日直、絶対ハズレだった!」
放課後、すっかり人通りの少なくなった廊下を小走りで、あたしは教室へと急ぐ。
7限目の科学の授業の終わりに、教材を運ぶのを手伝うように言われたのはいいけど、その後に準備室の片付けまで手伝わされてしまった。
いつも放課後ははるかと一緒。
だけど今日はさすがに先に帰ってしまったかな……。
「行ってきます」と声こそかけたけれど、こんなに遅くなる予定ではなかったし、先生の前でスマホをいじるわけにもいかなくて、連絡できていない。
さっき慌ててメッセージを送ってみたけれど、返信はない。
待たせることなく先に帰ったのなら、それはそれでいいんだけど……。
はるかのことを考えて思い出すのは、今日のお昼のこと。
『今度の日曜日、橘くんと3人で遊びに行かない?』
そう唐突に誘ってきたはるか。
急にどうしたのと聞いてみれば、冬哉をデートに誘いたいけど、ふたりだと断られそうだからついてきて欲しいということだった。