「なっちゃんと橘くんて、ほんと仲良いよね」
「え……」
「橘くん、なっちゃんの話すごいしてくれるし」
それどんな話……と嫌な予感がしながらも、声には出せない。それよりも……。
「冬哉とふたりで話したりするの?」
「あ、うん。さすがに学校じゃあんまり出来ないけど、夜にラインのやり取りとか」
「へー、そうなんだ……」
あたしが冬哉と仲良いのは、幼なじみだから当たり前のこと。
それよりも今、冬哉と仲が良いと言えるのは、はるかの方だと思う。
そういえば、追試のこと冬哉にありがとうって言い忘れちゃったな……。
最近、冬哉とはるかのことを考えると、自分の中のペースが乱れる気がする。
ふたりのこと、とても気になるのにどうしてか、知りたくない気持ちもあって……。
はるかに気付かれないくらいの小さな息を吐く。すると、
「あ、そうだ!なっちゃんにお願いがあるの!」
急に声を張り上げたはるかに、思わずビクッとした。
そして──。
「今度の日曜日、橘くんと3人で遊びに行かない?」