「うん!橘くんも一緒にどう?」

「いや、俺は遠慮しとく」


冬哉の返事に「そっかぁ、残念」と、肩を落とすはるか。


あの冬哉があたし以外の女の子と、普通の友達のように話している。


何度見ても、やっぱり慣れない……。


何となく目を逸らすように、お弁当の蓋を開けようとしていると、


「あっ、そうだ、なっちゃん!橘くんに報告しなきゃ!」

「え?」

「追試の結果!橘くんのおかげなんでしょ?」


勢い良くはるかに言われて、「あぁ……」と返す。



「追試、合格したよ」

「ふーん……92点か」

「ちょっ!勝手に見ないでよ!」


隣に置いておいたプリントを手に取られ、慌てて立ち上がる。


「俺が教えてやったんだから、満点くらい余裕だろ……って言いたいとこだけど、夏海なら上出来か」

「それ、どういう意味よ!」

「そのまんまの意味」


フッと鼻で笑うと、冬哉はあたしの頭の上にプリントを乗せるようにして、「じゃあな」と背を向けた。


「ひと言余計なんだって……」


ムスッとしながら呟いて、ストンとまたベンチに腰を下ろす。

するとはるかが隣でクスクスと笑った。